‐ LED照明と環境制御最適化で人工光型植物工場の経済性向上へ ‐
株式会社みらい（本社：東京都八王子市、代表取締役：嶋村茂治、以下 みらい）と、日本GE株式会社（本社：東京都港区、代表取締役社長兼CEO：マーク・ノーボン、以下 日本GE）は、本日、宮城県多賀城市の「みやぎ復興パーク」*1 内に設置したみらいの人工光型植物工場にて行われた実証実験（実施期間：2012年4月~2013年3月）の成果を発表しました。
東日本大震災直後、日本 GE が農業分野での東北復興支援を見据えて立ち上げたプロジェクトは、農業分野に豊富なノウハウを持つみらいをパートナーとして迎えた後、活動が加速、具体的計画の策定が進められました。 こうして策定された提案をベースに、みらいが主体となり日本GEとの協働を通じて実施された実証実験は、 昨年3月、経済産業省 東北経済産業局による東北地方の復興等を目的とした「IT融合による新産業創出のための研究開発事業」、および宮城県の補助事業として採択された後、環境制御の最適化や高効率実現などを目指し、GE製LED照明、水処理システム、および情報解析システム等*2 を用いて実施されました。
実証実験の主要テーマ、主な取り組み内容、および主な成果は、以下のとおりです。
主要テーマ
主な取り組み内容
主な成果
IT技術を活用した人工光型植物工場内の環境制御の最適化
（光源、温度、湿度、CO2濃度、ph値など）
みらいが長年積み重ねてきた栽培に関するノウハウをベースに独自開発したソフトウェアと、GE製のセンサや解析システムを中心とした、植物工場内における最適な環境制御の実現
センサや解析システムを中心とした制御システムを構築し、栽培環境の高度な管理を実現。また、開発した制御システムとIT技術を融合することで、遠隔地でのモニタリング、制御を実現
高効率（エネルギー効率・栽培効率）実現による経済性の確保（短期間内での投資回収）に向けた植物育成用LED照明の開発、及び最適な照明設計
これまで課題とされている経済性確保の実現
(1) 新たな植物育成用LED照明の開発（GEの照明事業部門）
(2) 波長の最適化、及び植物栽培の全工程におけるLED照明活用を踏まえた最適な照明設計（両社協働）
開発された植物育成用LED照明及び最適な照明設計により、経済性を改善
(1) LEDの活用による照明用電力量の削減（＊GE製蛍光灯比：約40%の削減）
(2) 波長の最適化及びLED照明活用工程の最適化による単位株あたりの収量の増加
なお、千葉大学大学院園芸学研究科の丸尾達 教授にサポートいただいき、実証実験で栽培された野菜の栄養などの成分分析の評価を行った結果、品質において露地野菜と比較してもそん色なく、また成分によっては、より機能性の高い野菜といえることが明らかになりました。
こうして品質面における高い水準が評価されたことから、地域密着型のウジエスーパーにて、今年3月より生産物（レタス）の販売が開始されており、地産地消が進められています。
実証実験の成果を踏まえ、今後、みらいと日本GEは、商業規模での実証実験など、経済性を高める低コスト生産モデルの実現に向けた協働の取り組みを行っていきます。
みらいの嶋村茂治社長は、「今回、農業とITの融合を目指した実証実験を行う上で、関係者のみなさまから多大なるご支援をいただき、心から感謝しております。GEの技術協力のもと実施された実証実験では、同社の卓越した技術力により開発されたLED照明、水処理システム、およびデータ解析ソフトが重要な役割を担ってくれました。そして、これらの技術をみらいが持つ植物工場技術に導入した結果、野菜生産技術がさらに高度化され、単位株あたりの収量において、約50％増加を実現するなど、生産能力や経済性が飛躍的に向上されることが確認できました。みらいは、植物工場の実用性を進化させることで、日本発の輸出産業の一翼を担いつつ、地域産業創出に尽力し、震災復興のお役に立っていきたいと考えております。」と述べています。
日本GEのマーク・ノーボン社長兼CEOは、「震災後に当社で立ち上げたプロジェクトが、こうしてパートナーのみらいと協働で進めた実証実験の成果を生み、東北復興と新しい農業の構築に貢献できる可能性につながったことを大変嬉しく思います。今後も、東北本社を拠点として、地域の様々な関係者との連携を強化しながら、みらいとの協働を深化させたいと思います。また、例えばGE のガスエンジンを導入し、トリジェネレーション技術を通じて、大規模農業の生産性向上と競争力強化を図っているオランダのような事例もありますので、日本における農業インフラ領域でどんな貢献ができるかを引き続き検討してまいります。」と述べています。
*1 みやぎ復興パーク：公益財団法人みやぎ産業振興機構が管理する、東北地域のものづくり産業の復興などを図る目的で整備されたエリアで、事業の早期復興や新事業展開を図る企業、産学連携により新たな事業創出を目指す研究開発を行う機関・企業等が入居しています。
*2 同実証実験で使用された装置の一覧、および人工光型植物工場内の写真は、別添資料をご参照ください。
みらいについて
株式会社みらいは、地球人口100億人時代に向けて、植物工場による農業革命を実現し、食糧問題に対してのソリューションを提供する企業です。みらいは植物工場専門会社のパイオニアとして植物工場のハード及びソフトの技術開発をしてまいりました。植物工場の実績として、民間企業へのシステム導入のほか、学校や病院にも植物工場の導入をすすめております。海外においては、南極の昭和基地でも本技術が正式採用され、モンゴルへ植物工場を輸出致しました。みらいは遠隔での栽培コンサルティングを可能とする技術力を背景に、今後、国内のみならず、海外にも積極的に植物工場を展開してまいります。現在、自社の植物工場で栽培・収穫した「みらい畑®」の野菜を、小売業や外食産業中心に販売展開中です。株式会社みらいの活動については、http://www.miraigroup.jpをご覧ください。自社ブランド「みらい畑」については、http://www.miraibatake.jpをご覧ください。
GEについて
GEは、世界が直面している困難な課題に取り組む企業です。人材とテクノロジーを最大限活用して、インフラ構築、電力供給、運輸や医療、金融に関わるソリューションを提供しています。日本においてGEは、より安全でクリーンなエネルギーの供給や、急速に進む高齢化に対応する医療サービスなどに取り組んでいます。これらの課題を解決するために、技術革新を進め、ステークホルダーと協働して、日本の再生と持続的な成長を目指しています。エジソンを創始者とするGEは、イマジネーションを大事にするとともに、実行する会社でもあります。課題解決のために行動を起こす、それがGEです。日本におけるGEの活動については、http://www.ge.com/jp/ をご覧下さい。
GE照明部門について
商業、産業、および一般家庭向けの主要な家電製品、照明、システム、およびサービス分野におけるグルーバル・リーダーとして、世界各国で事業を展開しています。GEが全社横断的に進める技術イノベーションとエコマジネーションに積極的に取り組むことで、環境に関する差し迫った課題へのお客さまの対応を支援する製品やソリューションのラインアップを拡大しています。GEの製品は、一般消費者向けにはMonogram®、Profile™、GE®、Hotpoint®、SmartWater™、Reveal®、およびEnergy Smart®、商業分野向けにはTetra®、Vio™、およびImmersion®ブランドとして販売されています。
日本の照明事業を担うGEコンシューマー・プロダクツ・ジャパン株式会社、および照明製品については、 http://www.ge.com/jp/products_services/lighting.html をご覧下さい。
【別添資料】みやぎ復興パーク（宮城県多賀城市）内に設置したみらいの人工光型植物工場
写真： 実証実験にて、大きく成長するレタス（2013年3月撮影）
使用された装置
カテゴリー
製品名
内容
栽培ラック
MIRAI ML-14-600GCB7
栽培ラックフレーム
栽培ベッド
MIRAI 14-600WB
培養液水槽
肥料制御装置
MIRAI NC-SYSTEM
培養液調整装置（肥料混合、pH調整）
肥料制御ソフト
MIRAI NC-SOFT12
培養液調整用ソフトウェア
育苗パネル
MIRAI CP26
育苗用パネル
栽培パネル
MIRAI CP6
栽培用パネル
照明
GEが本実証実験で開発
植物育成用LED器具
照明
GE製Stylo
蛍光灯器具
情報解析システム
GE製Proficy Historian
データ収集ソフトウェア
情報解析システム
GE製Proficy Real Time Information Portal
データ分析ソフトウェア
水処理システム
GE製E2 series RO machine
水処理装置
（GEおよびパートナー企業による水処理装置）
センサ
GE製T8200-E-HD5P
温度、湿度、CO2一体型センサ
統合管理サーバ
DELL製 PowerEdge T310
顧客情報、工場の運用・稼働情報を一元管理
日本GE コーポレート・コミュニケーション本部